







自宅を開放して図書館を運営する夫婦が山村と都市、彼岸と此岸を行き来しながら全国を飛び回る。生活/活動を通した実験「ルチャ・リブロ」は、実感へ。同世代の研究者とともに紡ぐ6対談、3エッセイ。
大きな変化が起こったとき、社会に一旦は背を向ける選択をとる人たちはどの時代にもいて、だいたい「山に向かうタイプ」と「都市にとどまり生活するタイプ」のふた通りに分かれてきた。それに対し、著者の青木さんはテクノロジーを活かしながら「山村と都市」、「彼岸と此岸」、2つの原理を行き来しながら「土着の知性」を模索する。地に足をつけた上での、“今”の抗いの形。
今年トークイベントをご一緒させていただきました。『彼岸の図書館─ぼくたちの「移住」のかたち』
『山學ノオト1・2』などの #青木真兵 さんの新刊です。前著を購入いただいた方の他、自然や他者との共生、ケア、働き方に関心のある方などにも新たに手にとっていただいています。
ウチのような小さな食堂としても、ウチなりに安心できる「場」をつくっていたい。その為には、そもそも自分にとっての「安心」とは何かを問うところから始めてみよう。二つの原理を併せ持つために。
以下、公式より。
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注目の在野研究者・移住者・図書館主宰者による
土着人類学宣言!
あたらしい人文知はここからはじまる。
市場原理主義や、社会に浸透する高度なテクノロジーによる管理化に飲み込まれず、地に足がついたまっとうな生き方をするためには、社会のなかでの「アジール(避難所)」を自分たちの手で確保することが必要ではないか。
・スピードが最優先される「スマート化」にどう抗うか? ・これからの「はたらく」のかたちとは? ・研究と生活をどう一致させるか?……
奈良の東吉野村で自宅兼・人文系私設図書館「ルチャ・リブロ」を主宰する著者が、志を同じくする若手研究者たちとの対話を通じて、「土着の知性」の可能性を考える考察の記録。あたらしい人文知はここからはじまる。
ぼくらの直感は合っていました。合っていたからと言って世界が劇的には変わるわけではないのだけれど、でももうちょっと、この「土着の知」とも言うべき人間の生き物としての部分を認めないと、ぼくたちは生き残ることができないのではないか。社会を維持することだってできないのではないか。本書は『彼岸の図書館』で言語化でき始めたこの直感を、同年代の研究者と共有し、意見交換した記録です。(「はじめに」より)
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【目次】
「闘う」ために逃げるのだ──二つの原理を取り戻す
対話1 逃げ延びるという選択 栢木清吾×青木真兵×青木海青子 対話2 これからの「働く」を考える 百木漠×青木真兵
「最強」とはなにか──山村で自宅を開くこと
対話3 「スマート」と闘う 藤原辰史×青木真兵
対話4 土着の楽観主義 竹端寛×青木真兵
手づくりのアジール──「自分のために」生きていく
対話5 生活と研究 磯野真穂×青木真兵
対話6 ぼくらのVita Activa――マルクス・アーレント・網野善彦 百木漠×青木真兵
山村デモクラシーII
◇青木真兵(あおき・しんぺい)
1983年生まれ、埼玉県浦和市に育つ。「人文系私設図書館ルチャ・リブロ」キュレーター。古代地中海史(フェニキア・カルタゴ)研究者。博士(文学)。2014年より実験的ネットラジオ「オムライスラヂオ」の配信をライフワークにしている。2016年より奈良県東吉野村在住。現在は障害者の就労支援を行いながら、大学等で講師を務めている。著書に、妻・青木海青子との共著『彼岸の図書館──ぼくたちの「移住」のかたち』(夕書房)、『山學ノオト』『山學ノオト2』(共にエイチアンドエスカンパニー)のほか、「楽しい生活──僕らのVita Activa」(内田樹編『ポストコロナ期を生きるきみたちへ』所収、晶文社)などがある。