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愉快のしるし / 永井 宏

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永井宏さんの本を初めて手に取ったのは7年ほど前。その頃は都内の本屋を巡り歩いていて、たまたま通りかかった自由が丘の古本屋のワゴンで手に取ったのが『カフェ・ジェネレーションTOKYO / 永井 宏』だった。僕は「永井宏」という人のことも、「SUNSHINE+CLOUD」というお店の存在も知らなかった。この本を読んだ記憶もなくずっと本棚に眠っていて、ちゃんと開いたのは本当に最近になってから。これは著者が70,80年代に通ったお店での思い出や、そこでの人間模様が中心に綴られている。手元にネットもなく、その空間でそれぞれが過ごす柔らかで個人的な時間。それでもバブル経済へむけ環境の変化とともに、開店当初あった理想や趣味がゆるやかに変化しながら、その形だけが美しく整理され残っていくお店や消えていくお店もあって、それぞれの文章の終わり方はなかなか切なかったりする。喫茶店がカフェに移り変わっていく時代を感じさせてくれる、「文化や意識や精神をゆるやかに共有させてくれるような喫茶店」があった時代の文化史。と、違う本の紹介が長くなりました。 そんな永井宏さんがひらいたお店「SUNSHINE+CLOUD」の通販のパンフレットに書かれた短い文章やエッセイ、まだTwitterもその他SNSもなかった頃に少しずつゆっくりと届いたであろう言葉たち。その短い文章を集めた本『愉快のしるし / 永井 宏』を出版している信陽堂さんとのお取引がはじまり、こちらも昨秋からぱらぱらとめくり始めました。どこから読み始めても、その時の自分に必要な言葉に出会える気がする。背筋が伸びたり、よりどころとなったり。 以下は、信陽堂のページより。 (全文はこちら→ https://shinyodo.net/diary/614/) 2020年12月、信陽堂が出版社として動きだしました。 一冊目は永井宏さんの小さな言葉を集めた本、『愉快のしるし』です。 たとえばこんな文章。 ひとつの風景を思い出すと、ひとつの出来事を思い出す。自分がいた場所や時間の記憶は豊かな自然と一緒で、積み重ねてきたものが生い茂るように自分の中で育っていく。 * 風の強い日、丘の上で体を風に任せる。体を前傾し、手を大きく広げ、空を飛ぶ真似をしてみたり、草の中に寝そべって、風の横切っていく音を聴く。空を見上げて風を見つめる。自分の居場所がわからなくても、そうして、とにかく生きているんだってことを体で知るということが必要なときもある。 * 新しい出来事は古い出来事でもある。記憶を何度も繰り返して、そのどこかとどこかを結びつける。すると新しい未来が見えてくるような気がしてくる。 * 料理の基本はシンプルで清潔なこと。食べることの心地好さが上手く伝わることが秘訣で、もちろん、美味しく食べてくれる人も必要だけど、もっと大事なのは毎日の自分の気持ち。 * 少しずつだけど、ちょっとだけマニアックな本屋さんが増えている。個人の目で選び、その意志や心意気を本というものを通して伝えているような店で、規模が小さくても、本の持っているさまざまな目的をみんなで眺めようとしている場所でもあるような気がする。 * その場所の精霊が宿ったようなときの気分っていうのがある。月や太陽や海や空が自分のためだけにあるような風景が目の前に大きく広がっていて、その神秘的な色彩の反射の中に自分も佇んでいるのだということを知ったときだ。 この本に収められた文章は、葉山にある「SUNSHINE+CLOUD」の通販カタログのために永井さんが書いたものです。 1995年のオープン当初から作りはじめられたカタログは年に2回発行されていて、現在52号。そのうち永井さんは1号から2011年春の33号までのすべてのテキストを担当しました。 モノクロームの商品写真と短いテキストで構成されたシンプルなカタログで、紹介されるのは1ページに基本はひとつのアイテムだけというミニマムなものです。商品説明やいわゆるコピーがある訳ではなく、そのバランスに海の近くで暮らす人たちのゆったりした生活感がにじむようでした。表紙には毎号違った永井さん手作りのスタンプが押されていて、春と秋に届くカタログを海辺の友人からの便りのように感じている人も多かったと思います。 のんびりした空気の中で、時おりドキッとさせられるようなテキストが挟み込まれることもあり、表現者としての永井さんの姿勢に励まされることも、叱られているように感じることもありました。 この本は自分だけの仕事にしたくなくて、可能なかぎり永井さんにつながりのあるみなさんにお力を貸していただきました。 永井さんが繫いでくださったほんとうにたくさんの人の助けをうけて生まれました。その意味でこの本は「人と人とをつなげることも、自分の表現のひとつ」と考えていた永井さんらしい、新しい作品にちがいありません。 『愉快のしるし』 永井宏 著 新書変形判上製(177ミリ×117ミリ)496ページ デザイン F/style(五十嵐恵美・星野若菜)+信陽堂編集室 校正 猪熊良子 編集 信陽堂編集室(丹治史彦・井上美佳) 印刷製本 廣済堂、日光堂、Allright